宮沢賢治の意固地なまでの真面目さ

宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」は老若男女に人気のある愉快な童話です。

だけど私はあまり面白いと思えませんでした。

東京の紳士が鉄砲を担いで山で狩りをしています。

彼らは犬を連れていましたが、その犬は疲労で倒れてしまいます。

「お金を損した」彼らは犬の命よりお金の損失を気に病みます。

レストランでご馳走を食べようとして逆に命を狙われて、その滑稽な怖がり方を賢治は強調します。

最後は助かるのですが彼らは自らの物質主義の罰を受けるのです。

しかし冷静に考えると紳士は何も悪くありません。

犬の命よりお金の心配をするのも、贅沢をしようとするもの、金持ちだから当然のことです。

トルストイやバルザックの小説を読めばわかりますが、金持ちは金持ちとしての立場に即した洗練された精神を持っています。

つまり貧乏人が貧乏に即した愛情や友情を育むように、金持ちもその立場に応じた何らかの深い精神を育んでいるのです。

賢治は真面目すぎるので金持ちの表面的な酷薄さが気に入らず、それ以上金持ちを深く知ることができませんでした。

敵を深く知ることができない上での批判は当然浅くなります。

賢治は他にも教師や生徒、地主、様々な人物への批判を繰り返しますが、それはごく浅いものです。

しかし賢治の批判意識は社会を変革しようという固い意志と、子供達の住み良い未来を作ろうという思いやりに溢れており、学ぶべきものがたくさんあると思います。

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